

元帥刀の模造
平成16年作
外装を失った元帥刀の刀身を入手された方からの依頼で制作しました。
当初はなんで軍国主義の象徴みたいな物を、というのが正直な感想でした。
しかし靖国神社のお許しを得て原品を詳しく調査し、忠実に模作していると、
当時の人の気持ちが伝わってくるのです。
元帥刀を作るという誇りと緊張感が、
一切手抜きのない精度の高い仕事ぶりから感じられました。
元帥は30人ほどおられましたので、
ある程度量産を前提にして制作されたと思われますが、
私の場合は一品制作ですので、大変手間がかかりました。
粗い下地を鋳造し、それを計測値どうりに整形して彫金します。
軍刀ですから足金物の環台はネジ留めになっていますし、
柄口には駐爪というストッパーがついていたりします。

しかし鐔は平安時代の毛抜形太刀そのものですし、
他の金具も兵庫鎖太刀を強く意識したものであることが分かります。
日本人のアイデンティティーの在りどころを感じましたし、
中世の刀装をライフワークにしている者として共感することの多い仕事となりました。
平成16年新作刀展覧会彫金の部に出品し、優秀賞。