丹生都比売神社の重要文化財
葦手絵兵庫鎖太刀の模造
平成20年作
20年前に第1作を作った時、地金や表面の銀の色に本歌と異なる感じがありました。
その後の研究で、地金が銀銅合金であることが分かってきました。
これは中世に多用されているものですが、まだ問題意識を持って研究はされていません。
表面処理によって表面の銀の濃度を上げると銀色を呈しますが、
それが擦れると暗灰色の地金が出てきますので、
鍍銀と誤解されていることが多いのです。
この2作目はすべて銀銅合金で作る事が出来ました。
制作上の問題点として、兜金や足金物等の金具が鋳造か鍛造かがありました。
前回の調査の時、石突金具の裏側が腰を立てて中空に作っているのを確認しましたが、
鋳造か鍛造かまでは分かりませんでした。
再調査は無理でしたので困っていたところ、古美術商の方が兵庫鎖太刀の残欠を見せて下さり、
鋳造であることが確定しました。
鞘の地板の葦手絵の彫金は第1作の時よりずっと時間がかかって、
前回の物の見方が甘かった事が思われました。
太刀の佩緒は西岡千鶴氏が武蔵御嶽神社の両面亀甲の紐を組んでくださった。
刀身は河内国平氏の作刀です。
平成21年の日刀保の新作名刀展に出品する予定でしたが、
この年から急に鐔,縁頭、小柄、笄、目貫に出品を限定されたので、
出品できませんでした。