金銅水滴1 – 第二室:仏教美術

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金銅水滴1 上野修路

平成6年作
高2.6cm 底径6cm

 

我が国には硯箱というものがあります。

文房具一式を箱の中にコンパクトに納めてしまう、いかにも日本的な発想です。

水滴も当然入っていますが、自ずと箱に納めるのに具合が良い形になっています。

扁平な油壷型の物が一般的ですが、それに注口と提手それと蝶番付きの蓋を付けたものもあり、

たいへん可愛いらしく、金工作品としても魅力的で、作ってみたくなりました。

 

本作は槙尾山経塚出土の平安時代の作品の器形を写して、

文様を宝相華に蝶と鳥の図に変えて作っています。

 

また技法的には現存する平安時代の水滴がすべて繊細な蹴彫による施文なのに対し、魚々子地の鋤下彫にしてみました。

鎌倉時代には鶴岡八幡宮の籬菊螺鈿蒔絵硯箱に収められた、金銀枝菊文水滴の例があるように、

平安時代にも蹴彫よりも上位の技法である、鋤下彫の作品もあったはずと考えての復元です。

 

銅板を打ち出し底と注口、提手の台等を蝋付けして組み立て、アマルガム鍍金で仕上げています。