葦手絵兵庫鎖太刀第1作 – 第一室刀剣

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葦手絵兵庫鎖太刀第1作(全体)
葦手絵兵庫鎖太刀第1作(全体) 作:上野修路

 

葦手絵兵庫鎖太刀  第1作(部分)  作:上野修路
葦手絵兵庫鎖太刀 第1作(部分) 作:上野修路
 
 
 
丹生都比売神社の重要文化財
葦手絵兵庫鎖太刀の模造昭和63年作で、
これがデビュー作になります。
 
 
日刀保の第41回刀剣研磨、外装技術発表会に初出品し
会長賞を受賞。
 
 
当時有職の権威で中世の刀装にも詳しい鈴木敬三先生が
審査員におられたことが大きいと思っています。

東博で調査させて頂きましたが、
この複雑な形状を限られた時間に計測することは難しく、
写真等から想定したところもあります。
鐔が別物を付けられているのを、
同様式の北条太刀に付いている障泥形鐔に変えて造りました。
 
 
一番問題だったのは表面の鍍銀で、先に鍍金をした上でないと、鍍銀はできないというのが定説でしたので、
苦労してそのやりかたで仕上げました。
しかし結果的にそれは違うということが、以後の制作活動から明らかになってきました。
それが第2作を作る動機になりました。

刀身は明治時代に一度研がれただけの物ですが、河内国平氏が写してくださった。

この太刀は中世の刀装を熱心に調査研究された考古学者の末永雅雄先生に見て頂き、
「今でも出来るんやなあ。これなら、もし本歌が無くなっても大丈夫。」
と言って下さったことが、以後の私を支えてくれました。